イルジメ

「運命」
一枝梅 2008年(韓国)

ギョム(ヨン=イルジメ)〜イ・ジュンギ
チャドル(ピョン・シフ)〜パク・シフ
ピョン・ウンチェ〜ハン・ヒョジュ
ポンスン〜イ・ヨンア
セドル(チャドルとヨンの養父)〜イ・ムンシク
コンガル(ポンスンの養父)〜アン・ギルガン
タン(セドルの妻・ヨンの養母)〜キム・ソンリョン
ピョン・シク(ウンチェの父)〜イ・ウォンジョン
イ・ウォノ(ヨンの父)〜チョ・ミンギ
ハン氏夫人(ヨンの母)〜イ・イルファ
イ・ヨニ(ヨンの姉)〜ソン・テヨン
インジョ(仁祖)王〜キム・チャンワン
監督〜イ・ヨンソク
脚本〜チェ・ラン
音楽〜吉俣 良
(全20話)


韓国ドラマ、一枝梅と書いてイルジメと読む。
今回は、映画ではないのですが、例外でドラマを取り上げました。
あまりに面白いからです。DVDBOX買おうか、どうしようか悩んでます。
ガンバッテ買っちまおうか・・・欲しいな〜。
これまで数々の韓国ドラマをみてきましたが、イルジメは私の中でダントツです。
冬のソナタに始まり、チャングムの誓い、太王四神記、70話を越えるイサンもみてきました。
でも、DVDBOXが欲しいとまで思わせるドラマは、これまでありませんでした。

このドラマは表面コミカルな笑いの中に、復讐という野望を内に秘め、目的を果たすため、盗賊に教えを乞い、
元殺し屋に武術を習い、独り周到に準備をする、イルジメの執念が描かれています。
出演者すべてが愛しく感じられてなりません。
悪(ワル)な王様。
世渡り上手な高級官僚。
優秀なのに、生い立ちが卑しいことから、出世を望みもがく陰のある青年。
役に扮してるパク・シフが好い。
哀しげで愁いのある表情、冷たい目元・・・
個人的な好みでいえば、主役イ・ジュンギよりパク・シフ。
その上司で、親の七光りで職についてる能無し役人。
イルジメ(=ヨン)を育てた、蔵破り8犯のセドル。息子を想い前歯を抜かれた。
そのセドルに一途に想われている、愛しのタン。
街のチンピラ。
そして、武芸の達人コンガル親子。コンガルに育てられたポンスンの、行動力、しなやかな強さ。

友情、親子愛、身分制、人情、武芸・・・
すべてが好い。


チャドル〜クールなまなざし      ポンスン〜一途で熱い女      セドル〜全身愛で満ちてる男


17世紀、朝鮮王朝中期。
即位時の功臣イ・ウォノの息子ギョムは、幸せな生活を送っていた。
そんなある日、ウォノは謀反の罪を着せられた上、ギョムの目の前で暗殺される。
ギョムは何とか刺客の手から逃れるが、衝撃のあまり記憶を喪失。
「ヨン」という名で庶民のセドル(盗賊)、タン夫婦の実子として育てられる。
13年後。
成長したヨンは、チンピラ同然の生活を送って遊んでばかりの毎日を過ごしていた。
だが、ギョム(=ヨン)の生存を知った刺客が再びヨンを狙うことに。
追われる中、ヨンは記憶を取り戻すが、ウォノの死の真相を知るシム・ギウォンも殺されてしまい、
父の仇は依然謎のまま・・・
悲しみと無念の中、ヨンは生き別れた母と姉を捜し始める。
そして家族を破滅に追い込んだ人物への復讐を誓い、父を刺した高級な剣を手がかりに、
金持ちや貴族の家に忍び込む。
ヨンは、盗みの現場に梅の花の墨絵を残す"イルジメ(一枝梅)"と呼ばれ、
権力者を懲らしめる義賊として庶民の間で英雄と化していくのであった・・・


監督よし。
キャストよし。
撮影よし。
CGよし。
脚本よし。
音楽よし。
すべてがよいドラマである。
ドラマというより、さながら映画を観ているかのようだ。

私が、イルジメを発見したのは、アナログ放送が完全に終了し、新しいテレビを購入してからだった。
7月24日、完全終了。
7月27日、新しいテレビ納入。
新たに衛星放送のチャンネルが増えて、回し見していた時のこと。
ドラマが始まって30分くらい経っていて、途中からだったが面白くて、つい見てしまった。
何話めかも分からなかったが、ストーリーはなんとなく想像がついた。
翌日、初めから見ると、すでに9話目だった。
毎日、放送が楽しみになり、見続けているうち、まずは音楽の良さに気づいた。
太王四神記の音楽も「いいな」と思ってたら、実は久石譲で、
日本人だと知って「そうだったのか、やっぱりな」なんて思ったものだった。
本気でサントラ盤を買おうかと考えたが、2枚?3枚?あるのでやめた。
そして、今回、鼻歌になるほど気に入ったイルジメの音楽。
「おし!サントラ盤買うぞ!」
 って、調べたら、吉俣良だった。またも日本人!
吉俣良さんは、大河ドラマ「篤姫」や今年の「江」も担当されて、その作品はどれも良いものばかり。
吉俣良さんだったか・・・」
さっそく韓国盤で、サントラを購入した。
・・・吉俣さん、いい仕事してます。
サントラ盤を購入して、いま狙っているのは・・・そう、DVDBOX。
欲っしい〜♪
だいたいの想像がつく、とはいっても、最初8話くらい見逃してるし。


ディレクターズノーカット版
「次の獲物はこれだ!」 by tuzi


いやいや、ディレクターズカットで失敗するより、堅くテレビ版か・・・悩むな〜

ハッ!!
レンタルでいいじゃん!


日本にも士農工商があったと同様に、韓国にも、古今東西身分制は存在していた。
身分制によって、仕事も制限されていたし、実力だけではのし上がることが困難な時代が
どこの国にも存在している。人間の頭の中というのは、人種によらない・・・そんな時代の話しだ。
いや、もしかしたら、人間の身分制に時代の隔てはないのかもしれない。
現代人の心にも、「差別したい」という思いが潜んでいるのかもしれない。
下のものは、上のものに虐げられ、さらに下を作りあげようとする。
日本でいう、島崎藤村「破壊」のエタ、ヒミンもそうであるし、
‘家柄’なんていう言葉は、今でも使われているではないか。
人の欲は計り知れない。
いつの世も、抑圧された者は、その圧力に耐え切れず、どこかにハケグチを求める・・・
そこに悲劇が生まれる・・・

主人公ヨンは、高貴な生まれだったが、父親が謀反の罪を着せられた為に、その人生は一変した。
ヨンばかりでない。
愛されながらも、使用人という立場で子供を宿してしまったタンは、捨てられてしまう。
その子、チャドルは、母の意向で高貴な家に預けられ成長する。
ヨンもチャドルも養父セドルの元で育てられた。
イルジメは、親子愛に満ちた話しである。
己を捨てた、セドルの無上の愛に涙がとまらない。
ポンスンは仇と知らずに、父親と慕うコンガルに育てられる。
みんな、皮肉な運命で結ばれている。
特に、ヨンの運命は可哀想すぎます。
チャドルも可哀想すぎます。
セドルも哀しすぎます・・・
それを運命(ウンミョン)の一言で片付けていいものか。
運命と思うしかないのが、人間の哀れですね・・・。

これまでの韓国ドラマだと、運命なんていうとクサクて、お決まりのパターンだったりしたものだが、イルジメは違う。
なかなかよくできているのだ。脚本がいいんだよね!
監督も言ってたけど、「韓国独自のヒーローを作りたかった」と。
例えば、アメリカのスパイダーマンのようなね。
なんていうと、なおさらクサクなりそうだけど、ならないんだな、これが。
他の役者でもイルジメがあるらしいので、元々原作があるのかもしれません。
ただ、今回イ・ジュンギが「20代のうちにイルジメを演じたかった」と語ってます。
「これまでのイルジメとは違ったイルジメにしたい」とも言ってます。
コミックで読んだ、ということは中国の「水滸伝」のような物語として、韓国では有名なのかもしれません。
確かなことは私も定かではないのですが。
チャドル役のパク・シフも「カリスマ性を出したい」と語ってました。
監督は有名俳優を役に当てるのではなく、役に合った役者を選んだ、と。
確かに、韓国ドラマは、同じ顔ぶれで演じられてますが、イルジメの出演者は見たことない人ばかりと思ってました。
セドル役のイ・ムンシク氏は前歯を抜いての好演。役者ですねー。

とにかく、出演者全員、はまり役。
そして好演。
脚本の面白さ。
映画を凌ぐ撮影のセンスのよさ。
ぜひともご覧あれ!

ちなみに、私が一番好きなシーンは。
雪の降る夜、ウンチェの足跡の横を、シフが並んで歩く場面です。
次に好きなシーンは。
ケガをしたシフが、ウンチェのために矢を放って明かりを灯す場面です。
その次に好きなシーンは。
ケガをして血が流れてるのに、イルジメの心配ばかりするウンチェに
「目の前の僕は見えないのですか」と思わず言ってしまう、
がまん強いシフらしからぬ、弱さをみせた場面です。
って、どれもパク・シフばっかじゃん!
だって〜・・・
パク・シフは、顔もいいけど、脱ぐと体が逆三角形なんだぜっ!


(2011年8月記)