お葬式
1984年
「革命」

 監督/脚本 : 伊丹十三

 出演 : 山崎努 / 宮元信子
      菅井きん / 大滝秀治
      財津一郎 / 江戸家猫八
      高瀬春奈 / 尾藤イサオ
      岸辺一徳 / 井上陽水
      佐野朝夫 / 笠置衆

(124分)


伊丹十三初監督作品。
自らの体験をもとに、わずか1週間で書き上げたシナリオを斬新な演出で映画化した。
タイトルの「お葬式」というネーミングは‘暗い’と、当時は倦厭されもしたが予想外の大ヒット!

物語は、妻の父親が急死したため俳優の井上侘助はビデオで葬式のハウツーを勉強。
式に臨むが、式には親戚はじめ実に多彩な人物達が集まってくる・・・


世界の黒澤監督以降、森田芳光の「家族ゲーム」(1983年)までこれぞ!という監督が
日本映画界に現われていないと私は思っている。
そんな中で、伊丹十三監督の「お葬式」は私の中では革命った。

カメラアングルといい、演出といい、話しの内容といい・・・
まずもって、お葬式を題材にタイトルもそのまま取り上げるといった視点には誰もが驚いたことと思う。

それまで俳優として見てきた伊丹十三も好きだった。
アクがあって、危険で、刃物のように鋭利で・・・
映画「お葬式」以降も俳優としても出演していたようだが、やはり次回作に期待が集まったことは否めない。

「タンポポ」(1985年)では前作「お葬式」を超えられず酷評に終わった。
そして「マルサの女」(1987年)がヒット。
続く「マルサの女2」(1988年)もぼちぼちヒット。
「あげまん」(1990年)「ミンボーの女」(1992年)「大病人」(1993年)「静かな生活」(1995年)
「スーパーの女」(1996年)「マルタイの女」(1997年)と
まるで「お葬式」の再来を渇望するかのように毎年映画を撮り続け、1997年12月20日、64歳にて自殺。死去。
なぜ・・・

この訃報をニュースで聞いたときは、がっくり肩を落としてしまった・・・
衝撃だった

何かに脅迫でもされていたかのようではないか・・・
それほどまでに、初監督作品「お葬式」は重荷になっていたのだろうか・・・
彼の死は本当に残念だった。

この後、日本映画界はどうなってしまうのか?
私は残念で仕方なかった。

そりゃ、日本には大島渚、篠田正浩、大村昆督、そして私の大好きな今村昌平監督もいる。
だが、正統派すぎてマンネリ感があるし、安心して見れるから
伊丹監督のように新しい息吹を期待することもできない。

こんな多くの人の期待が伊丹監督を追い込んでいたのだとしたら、申し訳なかったとも思う。
だけど・・・だからって・・・
私としては、俳優としての伊丹十三も見続けたかったし、もちろん気長に映画も撮り続けて欲しかった。

現在に至る今でも私の中では、彼を超える革命児的な監督は現われていない・・・。


(2003年5月記)