ラ・マン〜愛人

「愛の奴隷」
L'AMANT 1992年 仏=英

 監督/脚本 : ジャン・ジャック・アノー
 原作 : マルグリット・デュラス
 音楽 : ガブリエル・ヤレド

 出演 : ジェーン・マーチ
       レオン・カーフェイ

 ナレーション : ジャンヌ・モロー

(116分)


1920年代フランス領インドシナ(ベトナム)を舞台に、
富豪の中国人青年と中学生のフランス人少女の援助交際の話。

中国人青年はパリに留学しサイゴンで事業をしている華僑の父親のもとに帰ってきたばかり。
少女は実家から学校の寄宿舎に戻る途中の水上バスで青年と出会う。

少女は白人であるプライドから、金持ちであるが中国人というだけで青年を見下す。
しかし、少女の家は貧しい、貧しさゆえの家庭内不和・・・

青年はチャイナタウンに隠れ家を借りる。
汗にまみれしつこく繰り返される情事・・・
はじめ少女は中国人青年の金目当てだった。
少女の家族も、青年を金づるにするが、見下した態度をあらわにして青年に接する。
青年は思慮深く、忍耐強い。
ここでは差別の目は当然と受け止めるだけの大人である。
だが、青年はいたく傷ついていた・・・

青年は少女を愛していたが、少女の態度は明らかに金目当てだった。
それでも、青年は少女を愛した。
将来のない愛人としてだ・・・

自分には許婚がいて、結婚相手は既に決まっていた。
中国のしきたりでは、当然の事だった。
それでも、少女をあきらめきれない青年は、少女の事を父親に打ち明け、
結婚を懇願したが当然聞き入れてはもらえなかった。
青年は母親から譲り受けた指輪を少女に渡す。
それほど少女を愛していた・・・

青年の結婚など、意に介さない少女だったが、婚礼の日青年を見つめる少女がいた・・・
少女は青年が結婚した後、会おうと約束するが、ついに青年はやってこなかった。

そして、少女の家族をフランスに帰国させる費用を全額援助してやった。
青年はとことん金づるにされた。
少女家族は青年のおかげでフランスへ帰ることに・・・


少女は青年の愛人だった。
果たして、そうだろうか?
青年が少女の愛人だったのでは?
青年は死ぬまで少女を愛し続ける・・・

これは愛人としての拷問だ、奴隷だ。

少女は15歳だった。
自分は金目当てで、青年を愛してなどいない・・・少女はそう、思い込んでいた。
気づきもしなかった。愛に幼なかった。
自分の本心に気がついたのは、ベトナムを遠く離れて船内にショパンのピアノワルツが流れた時だった・・・

バーカ!

泣け!

おまえも愛人としての拷問を受けるのだ、奴隷になるのだ。

船がベトナムの岸を離れる時、青年が乗っている黒塗りの車が隠れるようにあった。
胸が締め付けられるシーンだった。
後ろの座席に座ってじっと船を見つめる青年が憐れだ・・・

ラストシーン、長い長い時間が過ぎたフランス。
少女は数度の結婚、離婚、子供ももうけた。そんな長い年月が過ぎていた・・・

彼女のもとに青年から電話が。
彼は、少女のこれまでのことをすべて知っていた。

ああ、なんと深いのだ!

これは、幼なすぎた少女と、それを愛してしまった青年の悲劇だ!


(注記)援助交際の話しではありません。ポルノでもありません。お間違えのないように・・・
それにしても、あんな子供の何がどうあれほどまでに好かれるというのか・・・??


(2003年5月記)