夏至
「くすぶり続ける心の中の感情」
ALA VERTICALE DE L'ETE 2000年 仏=ベトナム
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監督/脚本 : トラン・アン・ユン
出演 : トラン・ヌー・イエン・ケー
グエン・ニュー・クイン / レ・カイン
(112分)
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不倫中の長女、倦怠期の次女、兄を敬愛し恋人とうまくいかない三女。
40代、30代、20代の三姉妹の微妙な心情を、セリフを抑え、漂う雰囲気で語る。
トラン・アン・ユン監督の作品は、香りや質感、温度が伝わってくる。
「夏至」ではベトナムの日常風景が官能的に映し出されている。
フランス在住のベトナム系フランス人、トラン・アン・ユン監督は
第一作の「青いパパイヤの香り」1993年(仏=ベトナム)でカンヌ映画祭新人監督賞受賞。
1995年には「シクロ」(仏=ベトナム=香港)でヴェネチア映画祭金獅子賞を得ている。
キャストではトラン・ヌー・イエン・ケーはこれお決まり!
「シクロ」では香港のト二ー・レオンが渋く決めていた。
私は3作とも好きだが、最新作「夏至」が特に好きだ。
(「夏至」と「シクロ」は2003年香港のテレビで中国語字幕で見た)
トラン・ヌー・イエン・ケーとト二ー・レオン
「シクロ」から
「青いパパイヤの香り」は一昔前の話しだし、「シクロ」はやくざ世界で、いまいち現実味がない。
でも「夏至」は誰もが心に抱えている感情を描いている。
3作とも映像の美しさが印象に残る。
スコール・・・蚊帳・・・トラン・ヌー・イエン・ケーの美しさ。
それぞれが抱えている、いや心に思っていることは誰にも知りようがない。
人の心の中は誰にも覗くことができない。
その重苦しさが誰かに語られることもなく淡々とおくられる日常・・・
言葉にすることすらできない、心の中に生じた感情・・・
行き場のない思い・・・解決のない割り切れない感情・・・
いつまでも心の中にくすぶり続ける思い・・・
そんなことを感じた映画だった。
(2003年4月記)
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