シェルタリング・スカイ
「喪失」
THE SHELTERING SKY 1990年(英・米)
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監督/脚本 : ベルナルド・ベルトリッチ
原作 : ポール・ボウルズ
脚本 : マーク・ペプロー
音楽 : 坂本龍一
出演 : デヴラ・ウィンガー / ジョン・マルコビッチ
キャンベル・スコット / ジル・ベネット
ティモシー・スポール
(138分)
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第二次大戦直後にニューヨークから北アフリカにやってきた、一組の夫婦とその友人。
結婚して10年、お互いの間に以前のような愛情や夢が失われているようの感じていたふたりは、
異国の地で何か発見できるのではないかと考えていた。
行き先も決まらないまま砂漠の奥へと旅を続けていき、ついには夫のポートが熱病に罹ってしまう。
ここで、夫に死なれては身も心も孤独になってしまうとおびえる妻・・・
スタッフは1987年「ラストエンペラー」でアカデミー賞9部門を獲得した監督B・ベルトリッチ、
製作J・トーマス、撮影V・ストラーロ、音楽の坂本龍一が再結集。
初めて見た時、「何が言いたいんじゃ!」と訳がわからなかったが、悲しさだけは感じた。
それは「迷子になったんだね」という最後の言葉で決定的だったし、
迷子になっていた間に彼女は究極の喪失もしていたのだった・・・
音楽がよかった。
あのメロディーとキット(デヴラ・ウィンガー)の赤のベレー帽が妙に残る・・・
盾のように二人を守る空。
その盾の向こうには、何もない。
自分を覆っている空は当たり前に存在していて、失われることはない。
恐らくないが、もしなくなったら大変だ。
愛とはそうしたものなのだろう・・・そんなことを思った。
「もう一度みたい」
そして、数年後改めて観た・・・。
「迷子になったんだね」
そして、やっと戻ってきたんだね。
でも、探していたものは失われて、永遠に戻ってはこない。
そのことにもやっと気がついたんだね・・・
探していたものは当たり前に存在していたシェルタリング・スカイだったなんて。
なんという悲しみなんだろう。
私はこの映画から究極の喪失と悲しみを感じた。
悲しみは最後の「迷子になったんだね」でどばーっとおしよせてくる。
私の恋愛映画の中、最高の一本です!
夫は妻に「愛しすぎて怖い」と言っていた。
妻は「わからない」と言って泣いた。
気がついたとき、すべてを失くしていた。
そこに希望はない、失くしたのだ・・・
そこにあるのは究極の喪失・・・
永遠の喪失・・・
果てしない喪失・・・
取り返しのつかない喪失・・・
(わかったっちゅうの!)
(2002年12月記)
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