タイムトラベラー
きのうから来た恋人

「古き良きアメリカの道徳」
BLAST FROM THE PAST 1999年

 出演 : ブレンダン・フレイザー
       アリシア・シルヴァーストーン
       クリストファー・ウォーケン
       シシー・スペイセク
       デイヴ・フォーレイ
       ジョーイ・スロトニック
 監督/脚本 : ヒュー・ウィルソン
 ストーリー/共同脚本 :  ビル・ケリー
 製作 :  レニー・ハーリン
 製作総指揮 :  アマンダ・スターン、
           サニル・パーカシュ、
           クレア・ラドニック、
           ポルスタイン
 編集 :  ドン・ブロシュ
(113分)


キューバ危機が迫る1962年、当時アメリカでは多くの人が核シェルターを自宅に備えていたという。
ある日、天才科学者のウェバー夫妻が、飛行機の墜落をロシアの原子爆弾と勘違いして
地下の巨大核シェルターに35年こもってしまう。
危険を感じた発明の天才カルヴィンが、臨月の妻を連れてシェルターに入ったその時、爆撃音とともに自動ロックが作動!
自動ロックが解除されるのは35年後・・・。

シェルターで生まれたアダムは両親の愛情たっぷりにすくすく育ち、35年後食料の買い付けに地上への冒険に旅立つ。
35年間、一度も海や空を見たことがなく、女の子にも会ったことがないアダムが出会ったのは典型的なLAっ子のイヴ。
ただの奇人としか思えないアダムに最初は嫌悪するイヴだったが、
打算も駆け引きも知らない純粋なアダムにだんだん惹かれ始める・・・。

アダムを演じるのは「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」のブレンダン・フレイザー、
鼻っ柱の強いLAっ子をアリシア・シルヴァーストーン、
愛すべき両親をアカデミー俳優のクリストファー・ウォーケンと、シシー・スペイセクがコミカルに演じて、
観るもの全てをハッピーな気持ちにさせます。
みんな大真面目にコメディーです。


クリストファー・ウォーケンといえばあなた、シリアス物と相場が決まっていたものでしたよ。
だから、てっきりタイトルからしてお父さんのクリストファー・ウォーケンが若返って現代に現れる。
そして、お熱い大人の・・・と勝手に思っていたらばーんぜーん違っちゃった♪

主人公はシェルター内で生まれた子供のアダム。
これが純粋培養で育っちゃったもんだから、いい子なの(といっても35歳)とっても紳士で、完璧なの。

ナイトクラブでシェルター内で待つ両親に会わせようと「お嫁さん探し」するんだけど、そこでのダンスはステキだった・・・
ぼーっとして見とれてしまいましたよ・・・
とにかく、ブレンダン・フレイザーがかっこよくてね。
体もいいし、顔もいいし、なんてったって短髪ってとこがたまらん!
やっぱ、男は短髪に限る!
私の中でブレンダン・フレイザーは今いちおし!
笑顔がこれまたかわいいのよ〜ん♪
(第二のトビー・マグワイアめっけ!)

シェルターからでてくる家族を神とあがめ、教祖になったクラブの男に大爆笑。
クリストファー・ウォーケンのピンボケオヤジぶりにも失笑。
ママお手製のジャケットがベッドカバーやパパのパジャマと柄がいっしょだったり、細かい所でも結構笑える。
思いっきり、ダサいのに喜んでいる息子が健気で偉い。

相手役の女がギャーギャーうるさいのはいただけないけど、ブレンダン・フレイザーがステキだから目をつぶろう。

「親が子供の面倒を見て、今度は子供が親の面倒を見る。これが人生というもの。人間はずっとそうしてきた」
とアダムは言います。アメリカにもそういう孝行の考えはあったのか。知らなかった・・・
しかし、それに対しての恋人イヴのセリフはこうだ!
「そういう間違った考えをアダムが言っても、私はただ黙っているのよ・・・」と!
あーやっぱり、これだからアメリカはだめだ・・・


同年1999年アカデミー作品賞の「アメリカン・ビューティー」も
‘古きよき時代のアメリカの道徳’(ビューティー)を取り上げた作品だと私は思っている。
「アメリカン・ビューティー」は荒廃しきった現代を舞台に完全に失われてしまった父親の威厳に焦点をあてて描かれていたが、
「タイムトラベラー」の方は実際‘古きよき時代のアメリカ’のお手本が映画になっている。

かなり偏見が入っているかもしれませんが、どうか、一見あれ!!
念のため言っときますが、ブレンダン・フレイザーを見つけたのは私ですからねっ!


(2002年12月記)