許されざる者

「視点の逆転」
UNFORGIVEN 1992年

 製作/監督 : クリント・イーストウッド
 脚本 : デヴィット・ウェッブ・ピープルズ
 出演 : クリント・イーストウッド / ジーン・ハックマン
       モーガン・フリーマン / リチャード・ハリス
 
(131分)
 アカデミー作品賞、監督賞、編集賞
 助演男優賞=ジーン・ハックマン


舞台は1880年のワイオミング。
人里から遠く離れてひっそりと暮らす男がいた。彼の名はウイリアム・マ二ー。
かつては列車強盗に冷酷な殺人と、あらゆる悪事を働いたその男も今では2児の父として小さな家畜農場を営みながら過ごしていた。

そんなマ二ーのもとにキッドと名のる、ひとりの若いガンマンが訪ねてくる。
賞金稼ぎを手伝えというキッドの言葉に、マ二ーは戸惑った。
農場だけでは生活が苦しいマ二ーはやむなく再び銃を取る。
今のままでは子供たちを育てていくことさえままならないからだ。
彼は二度と握らないと誓ったはずの銃を手にし、昔の相棒ネッドと共に3人で町へと向った。




その頃町では、鬼保安官のビルが治安を守るため別の賞金稼ぎを片っぱしからぶちのめしていた。
その行き過ぎた卑劣な行為には、周囲のものまでが震え上がるほどだった。
そして、保安官ビルは、これからやってくるであろうマ二ー達をも待ち構えるのだった。

そうとは知らずにマ二ーたちは町に入っていく・・・





アメリカ西部劇の定番、正義対悪の図式を超えた西部劇だ。
C・イーストウッド自らが語っているように‘最後の西部劇’にふさわしい!

正義の味方保安官と町の治安を乱す悪の賞金稼ぎ、
そんな単純な図式はここには存在しない。

暴力の本質は単純ではない。

たとえ、テロ行為であれ・・・
それにはそれなりの理由があったはず。心当たりはないのか?
暴力を止めるのに暴力では止まらない。更なる報復を生み出すだけだ・・・

テロ撲滅に戦争を仕掛けるのはテロとは言わないのか?
無差別に市民を危険にさらし、命を奪うのはテロとは言わないのか?
テロ撲滅という大義名分を掲げれば、利権を奪っても侵略とは言わないのか?

・・・あー、もうよそう!きりがない。
アメリカはその短い歴史の中で何も変わっちゃいない!
何も学ぼうとしない!

許されざる者だ!

この作品を第65回アカデミー作品賞に選んでおきながら、なにやっとんのじゃ!

うわべだけ取り繕うだけの薄っぺらな国アメリカよ!
あなたの国には、こんな素晴らしい映画が山ほどあるじゃないか!

私はこの映画を見てアメリカにもこういう考えができる人がいたということに心底感動したし、
それが、映画になったということには、さらに感動した・・・拍手を贈りたい。

残念なことに、アメリカは映画から何も学んでいない、ということ。

なにが正義かわからん奴は
この映画を見てよく考えろっ、てんだ!


(2003年5月記)