プライベート・ライアン

「ヒューマン」
SAVING PRIVATE RYAN 1998年

 製作/監督 : スティーブン・スピルバーグ
 脚本 : ロバート・ロダット
 撮影 : ヤヌス・カミンスキー
 音楽 : ジョン・ウイリアムス
 出演 : トム・ハンクス / トム・サイズモア
       エドワード・バーンズ / バリー・ペッパー
       アダム・ゴールドバーグ / マット・デイモン

(170分)
 アカデミー賞
 監督賞、撮影賞、編集賞、音響賞、音響効果賞


1944年、ノルマンディ上陸作戦で辛くも生き延びたミラー大佐の下に緊急指令が下る。
戦場に3人の息子を送り出していた母のもとに2人の死亡届が・・・
残されたもうひとりの息子を無事帰還させるため探し出せ、という命令だった。

ふざけた話しだ。

そのために7人の精鋭を連れて出発した大佐だったが、そこは戦場。
途中、ドイツ軍の攻撃で死者が出る。

ふざけた話しだ。

ひとりを探しに出かけて数人が犠牲になる。指令は戦争と直接関係ない・・・ときてる!
犠牲になった戦士にも家族はあるんだぜ。親もあるんだぜ。待ってる人がいるんだぜ!
片手落ちにもほどがある。

ふざけた話しだ。

戦争なんだぞ!
よもや、忘れてはいないだろうな!
悠長に人探ししてる場合じゃないんだよ!

以上、話しの筋だけはクエンティン・タランティーノ顔負けのクレイジーさだが、

冒頭の30分間の上陸シーンは圧巻だ!

ハンディカメラでのドキュメンタリータッチでの撮影はまさにアカデミー賞にふさわしい。
また、色の彩度も抑え、無残な死者や、海中、血に染まる浜辺がリアルに映し出される。
このシーンだけでも見ごたえ十分だ。すさまじかった!
自分が戦場にいるかのような錯覚さえ覚えてしまう恐ろしさだった。


スピルバーグは1993年「シンドラーのリスト」でも戦時下における人間の尊厳を描いている。
「シンドラーのリスト」は第二次世界大戦中の実話をもとにユダヤ人とナチスを描いた作品だ。
この作品でスピルバーグは初めてのオスカーに輝いている。
はじめてなんて以外だよね・・・

ユダヤ人とナチスを描いたは多いけれど、この映画のいいところは救出方法が
‘いかにも’じゃないし、スマートで偽善的臭さがないところだ。


「シンドラーのリスト」より


ちなみに、「プラーベート・ライアン」での、‘あと一歩及ばず’っていうラストは私が一番嫌うところである!
アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」同様・・・


(2003年5月記)