裏窓

「グレース・ケリーの美」
REAR WINDOW 1954年

 監督 : アルフレッド・ヒッチコック
 脚本 : ジョン・マイケル・ヒューズ
 原作 : コーネル・ウールリッチ
 出演 : ジェームス・スチュワート
       グレース・ケリー
    レイモンド・バー / セルマ・リッター

カラー(113分)


        ニューヨークのダウン・タウン、グリニッチ・ヴィレッジのあるアパートの一室、
主人公はカメラマンの ジェフリーズ(ジェームズ・ステュアート)。
決死のスクープか何かを撮るために左足を骨折し、ギブスをはめて自宅で車椅子の生活。
ジェフリーズの楽しみと云えば、裏窓から向いのアパートの住人の生活を覗き見ること。
ピーピングトムと云う程のことではないのですが、夏ですから窓を開ければ自然と目に入るというわけです。
ストレッチに励む(ミス・グラマー)胸が自慢の女がブラジャーをなくした・・・
新婚の男女の濃厚なラブ・シーン・・・
ピアノに向かって苦吟している作曲家・・・
犬を飼っている夫婦者・・・。
暑いのでベランダで寝る夫婦・・・
病気の妻を抱えるセールスマン・・・
ひとり暮らしの孤独な婦人(ミス・ロンリーハート)等々・・・
NYの下町の暮らしを手に取るように眺めることができます。
そのうちにジェフの興味を惹くことが起きた。
病気で寝たきりの妻と2人暮らしのセールスマン、ラース・ソーウォルドが荷物を送り出した翌日から、妻の姿が見えなくなった。
ジェフは注意して彼の動静を観察し、妻を殺して死体をトランクに詰め、どこかへ送ったものと確信した。
この調査には恋人のリザ(グレイス・ケリー)や看護婦のステラにも一役買ってもらった。
リザは早速調査を始めたが確証がつかめないので、ジェフがいい加減のことを言っているのではないかと思うようになった。
やがてソーウォルドは自分が疑われていることに気づき、ジェフが警察に密告したことを知って殺意を抱いた。
ジェフが1人で部屋にいるとき、ソーウォルドが襲ってきて体の自由のきかぬジェフを窓からつき落とそうとした。
こうして意外なクライマックスが展開、事件の謎がとけるのである。


ヒッチコックは、日常にひそむ陥穽から悪夢を紡ぎだす。
ありふれたNYの生活の中に“殺人事件”を持ち込みます。
 殺人事件といっても死体があるわけではなく、セールスマンの妻の姿が窓辺から消えただけのこと。
毎日眺めるジェフリーズは不審に思い、双眼鏡に望遠レンズまで持ちだしてセールスマンを観察します。
レンズに映ったのは、何と大型の肉切りナイフとノコギリ。
ジェフリーズの想像力は「バラバラ殺人事件」へと飛躍します。
病身の妻の姿が見えなくなり、夫が深夜に大型ナイフとノコギリを新聞紙に包んで鞄にしまい込むのですから、
まぁその想像は無理もありません。
ジェフリーズは車椅子で動けませんから、することもなく退屈紛れでいきおい想像力が飛躍するんでしょう。

ジェフリーズに助手が登場します。恋人のリサ(グレース・ケリー)と看護婦のオバサン。
ジェフリーズはカメラマンとして世界中を駆け巡る行動的な男性で、リサと結婚して家庭に閉じこもりたくないようです。
リサはジェフリーズを家庭に縛ろうと頻繁に見舞いに訪れます。
カメラがジェフリーズの部屋から全く出ないという起伏の乏しい中で、グレース・ケリーが登場すると画面がパッと華やぎます。
最初は妄想だとバカにしていたリサとオバサンも、ジェフリーズの推理に巻き込まれ、
動けないジェフリーズの手足となって活躍するありさま。

幾つかのハラハラドキドキを経て、セールスマンはジェフリーズの部屋を襲い、ジェフリーズを窓から突き落として逮捕されます。
命には別状なかったものの、ジェフリーズは右足も骨折して車椅子の生活は継続。
秋が近づき、ミス・ロンリーハートは作曲家と仲良くなり、ミス・グラマーの元には恋人が戻り、
何処かから夫婦の諍いのこえが聞こえてアパートは平穏を取り戻し、
リサはジェフリーズの部屋に押しかけ、ジェフリーズを絡め取ったようです・・・幕。


ミステリー映画の重鎮、ヒッチコック監督の技巧の極みが尽くされた傑作サスペンス映画。
水曜日から土曜日までの出来事で、時間経過は17回のフェイド・アウトでつなぐ。
ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー主演により描かれる限定された空間でのサスペンスは技ありの緊迫感。

殺人事件があったのか無かったのか最後まで明かされません。
最後の警察官とオバサンのセリフを確認してみても、殺人事件そのものはボカサれています。
バラバラ殺人事件はあったのか、はたまたジェフリーズの妄想に過ぎなかったのか・・・?
殺人があったかどうかなんて、どうでもいいんです。
「裏窓」はグレース・ケリーの美しさのためにあるような映画なんですから。
グレース・ケリーの美しさと、ヒッチコックのサスペンスとストーリー性の面白さが絶妙にマッチして、どこをとってもピカイチだ。


それにしても、グレース・ケリーは綺麗ですね。
こんなに綺麗な女の人はみたことありません。
グレース・ケリーは世界一じゃ!
モナコ国王に見初められるのも頷けます。
彼女は綺麗ですよ、うん。
私は、やっぱりグレース・ケリーですね。
グレースなら、なんでも許せちゃう。
甘く上品で気品があって・・・
匂いたつ『華』です。




グレースの役どころは怪我をしたカメラマンの恋人の所へやってくる一流モデル。
だからとってもキュートでファッショナブル。
なのに、カメラマンはリサ(グレース・ケリー)と結婚したがらない。
ふって、別れようとさえ考えている・・・
なのに、なのにリサが「さよなら・・・」なーんて言うと、「さよならじゃなくて、おやすみだろ・・・今度いつ会える?」
なーんて甘ったるいことを言ってのける。

その彼女が大胆にも殺人事件の探偵みたいな真似を始めて、意外にもおてんば(死語)な一面をみせたりなんかしているうち、
これまでお嬢さん育ちとばかり思ってたカメラマンも「これなら、俺との生活にも耐えられるかもしれない」と、リサを見直し始める。
リサが正論で、男がごねているだけなの・・・。


ヒッチコック作品では「北北西に進路を取れ」もよかったが、私はこれが一番好きです。
ただ怖いだけじゃあねえ・・・
そこに『華』があったらもっといいじゃない?(←なんでオカマ言葉なんだ?)

カメラマンの所に通ってくる、保険会社の看護婦(セルマ・リッター)が、またいい味出してるんですよー!





モナコ王妃となって、自動車事故で亡くなってしまったグレース・ケリーですが、
女優をしていた頃、「御高くとまっている」とバッシングを受けることが、たびたびあったといいます。
極度の近眼が原因で、離れた所であいさつされても見えなかったというのが真相。

きれいだから余計「御高く」見えちゃうのよね。
松坂慶子もそうだって聞いたことがある。


(2002年10月記)